本格的な雪山登山デビュー!中国地方最高峰の「鳥取県・大山」で感動の雪景色!3月初旬「夏山登山道」のルート紹介と登山レポート

3月の鳥取県・大山山頂からの眺め

鳥取県の大山(だいせん・標高1,709m)は、中国地方最高峰であり、「日本名峰ランキング」のベスト3に選ばれた偉大な山。山岳信仰として古くから親しまれてきた大山には、広大なブナ林をはじめとする豊かな自然が残る。

大山は独立峰で日本海に面しているため、積雪量が多く、西日本を代表する雪山としても絶大な人気を誇る。日帰りでも往復6時間ほどで登頂可能だ。

今回は雪山2年生の筆者と、登山経験豊富なドイツ人パートナーと一緒に初登頂した、大山の絶景を望む雪山登山ルートを紹介する。雪山初心者でも十分挑戦できるルートであり、これから本格的な雪山デビューを目指す人にもおすすめしたい。

Contents

雪の「夏山登山道」ルート紹介

【登山ルート】

  • 夏山登山口→(1時間)→3合目→(1時間)→6合目避難小屋→(1時間)→大山(弥山)山頂
  • 往復約6時間

大山の山頂は標高1,709mの「弥山(みせん)」。最高地点の標高1,729mの「剣ヶ峰」に続く縦走路は崩落している箇所があり、現在は立ち入り禁止となっている。ここでは、最もメジャーな夏山登山道コースをご紹介。ユートピアコースは上級者向きのため雪山初心者が登るなら夏山登山道一択だ。

3月の伯耆大山
駐車場近くから眺める、朝の大山の様子

大山の麓にある大山町にはいくつかの駐車場がある。登山口に一番近いのは、モンベルから川を挟んだ場所にある南光河原駐車場。ただし、スキーシーズン中は混雑が考えられるので、大山国立公園駐車場に止めるといい。

この日は、前日の大雪の影響で車道にも雪が積もっていたので、登山口に入る前からアイゼンを装着する人が大半だった。大山の冬は、標高3,000m級の山に匹敵するほど厳しい天候条件だと言われている。そのため、12本爪アイゼンが推奨されている。モンベル大山店にも確認済みだ。

3月の伯耆大山で雪山登山している様子
夏山登山口から6号目までは、樹林帯の中を登っていく

天気が良い日ならトレースがしっかり残っており、迷う危険性は少ない。最初は緩やかな勾配の坂が続く。非常に歩きやすく、息が上がることもなくスイスイと歩ける。しかし、3合目あたりから少しずつ傾斜がきつくなってくる。

無雪期であれば問題ないが、アイゼンの装着に慣れていないと思うように踏み込めない。また、登山道を少しでも外れると踏み抜く可能性があるため注意しよう。

夏山登山道はひたすら登りが続く。距離は約5.7kmとさほど長くはないけれど、標高差が1,000m近くあり、登りごたえがある。次第に息が上がってくるのを感じるだろう。しかし、冬の大山は見るに飽きない絶景が続き、疲労さえも癒してくれる。

3月の伯耆大山で雪山登山している様子
前日に降り積もった雪のおかげで、真っ白に輝く樹氷を楽しめる。
3月の伯耆大山で雪山登山している様子
大山の周辺だけが真冬のような気候。
3月の伯耆大山で雪山登山している様子
山の全体像を拝めるスポットもある

6合目の避難小屋前に到着すると、森林限界を超える。東西に広がる北壁がすっきりと一望でき、まるでヨーロッパアルプスを思い浮かべるほどの迫力だ。想像以上にダイナミックな勇ましい姿に終始圧倒され、いつまでも眺めていたくなるほどの美しさがあった。

ここから先は急登が続き、しばらく休むスペースがない。避難小屋の前にあるスペースで、小休憩を挟み、しっかり行動食と水分をとっておこう。

強い日差しが差し込む中、急な斜面を登り続ける。危ない箇所はないものの、雪が深いため体力的にはハードだ。トレッキングポールで登ることができるが、天候によっては風が強くホワイトアウト状態になることもあるため、ピッケルも必ず持参しよう。

脚の重みを感じながら、慎重に一歩一歩進んで急登を乗り越えれば、ようやく木道が続くなだらかな道に入る。あとは景色を楽しみながら、山頂をのんびりと目指すだけだ。

山頂に到着!大迫力の絶景が待っていた

頂上避難小屋が見えれば、山頂はすぐ目の前。雪で作られたアート作品のような避難小屋を見れば、大山の積雪量の多さが伺える。なかには男女共用のトイレがあり、冬季でも使用できる。

3月の伯耆大山での雪山登山
雪に埋もれた頂上避難小屋

6号目避難小屋から1時間ほどで大山山頂の弥山1,709m地点に到着。山頂の周辺には腰をかけてお弁当を食べるスペースがあり、市街地と日本海を眺めながら昼食をとるのにぴったりだ。筆者とドイツ人のパートナーは山麓にある弥山荘に前泊していたため、用意してもらったおにぎり弁当を持参した。

3月の伯耆大山で雪山登山している様子
弥山山頂で昼食タイム

休憩場所のすぐ側には、剣ヶ峰方面を見渡せる絶景展望スポットがある。冬の稜線を見るために遠方から訪れる人もいる。鋭く険しい風貌で切り立つ剣ヶ峰。その荒々しい稜線に、ソフトクリームのように滑らかで純白の雪が覆いかぶさり、美しいラインを描いている。

3月の伯耆大山での雪山登山
剣ヶ峰方面へと続く稜線に息をのむ
3月の伯耆大山での雪山登山
現在は立ち入り禁止の剣ヶ峰へ向かう縦走路

大山の標高は全国92位と決して高くはない。しかし、その堂々たる出で立ちと風格は他に類を見ないほど、独特の雰囲気を放っている。見る角度によって、同じ山とは思えないほどのさまざまな山容を拝めることも、登山者を魅了する理由のひとつだ。筆者たちもすっかり大山の虜になってしまった。

この日は快晴だったが、大山の天候は気まぐれで厳しさも伴い、遭難事故が多いことでも知られる。今回が登頂9回目だという男性が「こんなに山頂が晴れている日はめったにないですよ」と教えてくれた。天候がいいからと急遽登りに来た人もちらほらいたようだ。あまりの綺麗さに名残惜しさを感じながらも、往路と同じ道を下山した。

西日本の名峰、大山で本格的な雪山登山デビューを果たそう

3月の伯耆大山

冬の大山は日帰りで登頂できる山でありながら、雄大で貫禄のある山景色を望むことができる。一度訪れたら、何度でも足を運びたくなる魅惑的な山だ。

夏山登山道は比較的登りやすいルートではあるが、大山は天候が荒れやすく、雪が深いことを念頭に置き、難しい場合は無理せず引き返そう。登山道が凍結することもあるため、12本爪のアイゼンとピッケルなどの雪山装備も必要だ。

大山で本格的な雪山登山デビューを果たし、想像以上の感動体験を確かめにいこう。

金田ゆか
1986年生まれ、AB型、東京再移住。ライター・ピラティストレーナー。旅するように暮らす複業フリーランス。ドイツ人パートナーの影響で登山にハマり、人生観が変わる。「心地よく、自分らしく過ごす」をテーマに、日々の暮らしと心と体を整える方法を発信中。
3月の鳥取県・大山山頂からの眺め

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